SHOWROOM 新しいつながりを育む、虎ノ門ショールーム
オフィスであり、お店であり、そして実験場でもある
2021年末、トニーセイムはオフィスを虎ノ門に移転し、パンデミックの影響で休業していたショールームも再オープンした。ここではブランドの思想と世界観を感じられる、その空間の在り方をお伝えする。
長期に渡りオフィス及び直営店を設けていた大塚を離れ、トニーセイムが新たな本拠地として選んだのは、政治や経済の中心でありビジネス街として知られる虎ノ門エリア。桜田通り沿いのビルの8階のワンフロアは、一見するとアイウェアブランドが居を構える場所としては少し異質にも感じられるが、そのギャップを埋めていくことも彼らの挑戦の一つだ。昨年末に完成したこの空間は、トニーセイムというブランドを創造するヘッドクォーターであり、商品在庫を管理するストレージであり、エンドユーザーが製品を求めて立ち寄れるショールーム。ここを訪れればトニーセイムのすべてが体感できるようにと、ブランドとしてのあらゆる機能を集約させている。もちろんそれは業務の効率化という側面も多分にあるが、それよりも“ブランドを取り巻く内外をシームレスにつなぎたい”という思惑の方が強いという。「私たちのビジョンや実際のフレームのデザインは、さまざまな方との対話やエンドユーザーの声、眼鏡店からのニーズの中から派生するもの。そのため、外部とつながれる場所を常設しているということは、我々にとってとても自然なこと」というのが彼らの弁。
マーケティングや企画、生産管理に検品、商談、打ち合わせ。すべてが行われるこの場所に人を呼び込むことで、作り手と使い手の距離が物理的にも近づく。そこでコミュニケーションが生まれれば、求められているものをより明確に汲み取り、ダイレクトに製品に落とし込むことができる。このことは、トニーセイムが何よりも強く意識している、つながり、共感するということに行き着くのだ。
「メガネを買いにきたお客さまがいらっしゃる隣の机で、商品企画の打ち合わせをしていることもきっとあるでしょう。そんな時に、もしかしたらその企画をどう思うかお客さまに意見を伺うかもしれない。それぐらい分け隔てなく、皆さまとつながれる空間を目指しています」